箱根には有名な美術館がたくさんありますよね。
箱根彫刻の森美術館、ポーラ美術館、箱根ラリック美術館などなど。
我が家は今年の夏休みに箱根を訪れたのですが、その際、葛飾北斎の展覧会を開催中の岡田美術館に行ってきました。
ここは2013年にオープンしてまだそれほど日が経っていないのでご存知でない方もいるかもしれませんが、とーっても素敵な美術館でしたので、ご紹介したいと思います。
アクセス
最寄駅は箱根登山鉄道の小涌谷駅。
そこからバスに乗り換えて小涌園バス停下車、徒歩すぐ。箱根小涌園ユネッサンのすぐ近くにありますよ。
開館時間・休館日
- 開館時間:9:00〜17:00(最終入館:16:30)
- 休館日:大晦日、元旦、展示替期間
料金
料金は以下の通り。
- 大人:2,800円(前売り券:2,550円)
- 小中高生:1,800円(前売り券:1,550円)
前売り券はコンビニ、JTB電子チケット、チケットぴあ、PassMe!で購入できます。購入手順詳細は以下ページの「前売り」項目をご参照ください。
値段を見たときには高いしどうしようかな〜と躊躇しましたが、その価値のある美術館でしたよ!
その他、利用方法に応じて以下料金がかかります。
- 庭園入園料:300円(※)
- 足湯入湯料:無料(美術館利用時)、500円(足湯のみ利用時)
- 駐車料金:無料(美術館利用時)、1時間無料 以降500円/h(足湯・庭園のみ利用時)
※庭園の渓流散策コースが工事のため閉鎖中。そのため庭園入園料無料(本記事執筆時点)。
美術館概要
大壁画
美術館に入ってすぐ目に飛び込んでくるのは、巨大な風神雷神図の壁画「風・刻」。
福井江太郎によって俵屋宗達の構図で再現された風神雷神図は、縦12m・横30mに及ぶ640枚のパネルから構成されています。25mプールほどの大きさですね!
訪れて最初にこの絵に圧倒される訳ですが、美術館に入館するとこの壁画の前の細長い通路を抜けて展示スペースに入るような仕掛けになっています。この時点でもうやられました。
この写真は外側からですが、真下から見るとすごい迫力です。
なお、撮影できるのはここまで。
美術館内は撮影禁止なのですが、携帯電話・タブレット・カメラ類は入り口のロッカーに預けた上で、空港のようなセキュリティゲートをくぐる徹底ぶり。貴重な美術品が沢山あるからこその対応なんでしょうね。
スマホで時刻を確認できなくなってしまうので、腕時計を着けておくことをおすすめします。
開催中の展覧会
北斎の肉筆画
私が訪問したときに開催していたのは「北斎の肉筆画 ―版画・春画の名作とともに―」。
- 期間:2020年4月5日(日)~2020年9月27日(日)
ちなみに、春画コーナーはちゃんと専用ブースになっており子供には見せない配慮もされていますので、ファミリーの方もご安心ください。
こちらが展覧会パンフレット。
展示されているものをいくつかあげると、
- 肉筆美人画の傑作「夏の朝」「美人夏姿図」
- 京都堀川の館で兄頼朝の刺客に夜討ちされた際の源義経・静御前・弁慶を描いた肉筆画「堀河夜討図」
- 風景版画「富嶽三十六景」から三役「神奈川沖浪裏」「凱風快晴」「山下白雨」
- 「神奈川沖浪裏」展示期間:4.5〜6.1、8.29〜9.27
- 「凱風快晴」展示期間:6.2〜7.31
- 「山下白雨」展示期間:8.1〜9.27
- 当時大変好評を博した絵手本「北斎漫画」
「夏の朝」や「美人夏姿図」、「堀河夜討図」などの肉筆画は、版画と異なり絵師が直接筆で描いた1点もの。同館収蔵の肉筆画11点が本展覧会では一挙公開されています。
「堀河夜討図」は義経、静御前、弁慶の表情や鮮やかな色遣いの衣装などが素敵で、三人が滑らかなS字形に縦に並んだ構図がとても印象的。展示されていた葛飾北斎の絵で一番好きでした。
版画「富嶽三十六景」の「神奈川沖浪裏」は誰もがご存知かと思いますが、今回展示されている他2点と合わせて三役と呼ばれ、特に名作と名高いそうです。
北斎漫画は動物や虫、妖怪まで様々なものが描かれた絵手本となるスケッチ。タイトルに「漫画」と付いていますが「気の向くままに漫(そぞ)ろに描いた画」という意味合いで、現代の漫画とは使い方が異なっていますね。
喜多川歌麿「深川の雪」
葛飾北斎や歌川広重などと並ぶ江戸の代表的な絵師、喜多川歌麿の「深川の雪」なども展示されています。
「深川の雪」は約199cm×約341cmと浮世絵史上最大なんだとか。当館所蔵で複製ではない本物を観ることができますよ!
画狂老人卍
当時にしては大変長生きだった北斎。齢90歳で生涯を閉じましたが、その直前まで絵を描き続けていたんだとか。
そして80代で使っていた号はなんと「画狂老人卍」。展示では絵画だけでなく葛飾北斎自身の人となりを知ることができてとても楽しかったです。生き様ロック過ぎ!
アイザック・ニュートンやガリレオ・ガリレイ、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ナポレオン・ボナパルトなどそうそうたる面々が名を連ねている米ライフ誌の「この1,000年で最も重要な人物100人」(1999年発表)に、ただ一人名前が挙がっている日本人なだけあります。これぞ千年さんですね!
次回展覧会
次回の展覧会は「没後220年 画遊人・若冲 ―光琳・応挙・蕭白とともに―」。
- 開催期間:2020年10月4日(日)~2021年3月28日(日)
江戸時代に京都で活躍した絵師、伊藤若冲。本館収蔵の若冲作品全7件と合わせて、尾形光琳とその弟乾山、円山応挙、曾我蕭白などの作品も展示されるとのことです。
常設展示
葛飾北斎の展覧会に惹かれて訪問したのですが、常設展示もとても見応えがあり見入ってしまいました。
全5フロアからなり、展示面積約5,000平米に美術品約450点が以下構成で展示されています。
- 1F:中国陶磁・青銅器、韓国陶器
- 2F:日本陶磁・ガラス
- 3F:日本絵画〜屏風を中心に〜
- 4F:日本絵画・書跡
- 5F:仏教美術
展覧会と常設展の目録は、以下展覧会案内ページの下部に、それぞれ「北斎の肉筆画展 展示目録」「常設展目録」PDFファイルとして掲載されていますのでご参照ください。
特に印象的だったのは日本、中国、朝鮮の陶磁器。
中国 景徳鎮窯の磁器や龍泉窯の青磁、日本の古九谷・柿右衛門・鍋島、江戸時代の著名陶工である尾形乾山や野々村仁清の作品などがフロア中にずらりと飾られています。
フロアは薄暗く黒い壁に囲まれ、展示物に上からスポットライトが当てられていて作品に集中できるように工夫されていますが、沢山の美術品が浮かびあがり幻想的な雰囲気に圧倒されました。
ミュージアムショップ
1階にあるミュージアムショップには、「深川の雪」などの絵画が描かれたクリアファイルや一筆箋といったものの他に「神奈川沖浪裏」などが描かれたショコラも置いています。
ショコラはちょっとお高いですが、お土産としてのインパクト抜群です!
開化亭
美術館の奥は約15,000平米もある緑豊かな庭園になっています。その中にあるお食事処、開化亭。
岡田美術館は明治時代にあった欧米人向けのホテル「開化亭」の跡地に建設されており、そこからとったようです。
営業時間は以下の通り。
- 食事:11:00〜17:00(L.O. 16:30)
- 喫茶:14:00〜17:00(L.O. 16:30)
我が家は午前中に2フロアを鑑賞して一旦退館。ここでランチをとり、午後に再入館して引き続き鑑賞しました。
ガラス戸やすだれが涼しげな印象の日本家屋で、とても寛げます。
軒先に出て庭を眺めることもできますよ。風情があり夏の暑さも忘れてしまいそうです。
寝転がれませんが、寝転がったら気持ちいだろうな…
お品書きはお食事はうどんと懐石弁当。喫茶はどら焼きやパウンドケーキなど。
キノコうどんと冷やしぶっかけうどんを注文。暑い夏には冷たいうどんの喉越しが堪りませんね。
開化亭までの道沿いには、8月にも関わらず紫陽花が咲いていました!
箱根は標高が高いため紫陽花の見頃は7月が本番。そして、場所によっては8月でも紫陽花を楽しめるようです。
こちらも美術館から開化亭への道沿いにあったものですが、何かわかりますか?
これは温泉の冷却装置「湯雨竹(ゆめたけ)」。
上から源泉の熱いお湯を流すことで、木の枝をつたって下に落ちるまでに、加水することなく素早くちょうどいい温度にしてくれるんだとか。
風情があり昔からの手法なのかと思いきや、この湯雨竹は別府温泉にて15年ほど前に開発された装置のようです。とてもユニークな発想ですね!
足湯カフェ
美術館には足湯カフェが併設されています(美術館利用の方は無料)。
メニューはお茶やコーヒー、おしるこやアイスクリームなど。営業時間は美術館と同じです。
足湯からの眺め。
美術館入り口付近、ちょうど大壁画の正面にあります。
壁画の手前には、葛飾北斎に多大な影響を受けたといわれるモネの「睡蓮」を意識したであろう睡蓮の池。
かなり見応えのある美術館なので、鑑賞が終わったら感想を語り合いながら疲れた足を休めることができるのがいいですね!
以上、岡田美術館のご紹介でした。ぜひぜひ足を運んでみてください!